買収後、何から確認すればよいのか
小規模会社を買収した後、買い手が最初に直面するのは、「会社の中で何が起きているのか分からない」という状態です。
預金残高や支払予定が分からない。請求や給与計算の担当者が分からない。契約書やパスワードがどこにあるか分からない。売り手社長しか知らない仕事がある。
こうした会社では、最初からすべてを整えるのではなく、事業を止めないために必要なことから順番に確認します。
確認の優先順位を決めます
買収後に確認することは、大きく3つに分けられます。
- 今止まると困ること
- 今確認しないと失われること
- 今後も継続して管理すること
この優先順位をもとに、買収後の確認を4段階で進めます。
事業を止めない
まず、直近の入金、支払、給与、請求、税金、許認可などを確認します。
目標は、資金や手続の見落としによって、営業や従業員への支払が止まらない状態を作ることです。
情報と権限を失わない
次に、通帳、印鑑、契約書、会計資料、メール、クラウド、パスワードなどの所在と利用者を確認します。
誰が銀行振込や契約を承認できるのか、各システムの管理者は誰なのかも整理します。
人から会社へ引き継ぐ
売り手社長や一部の従業員しか知らない業務、取引条件、判断方法、取引先との関係を確認します。
すべてを詳細なマニュアルにする必要はありません。重要な業務について、担当者、必要な資料、実施時期、判断基準を残すことから始めます。
継続して管理できるようにする
最後に、会社の状況を定期的に確認する仕組みを作ります。
確認対象は、売上や資金だけではありません。
- 財務・経理
- 人事・労務
- 契約・期限
- IT・情報管理
- 財務DDで確認した問題
何を確認するかに加えて、誰が資料を作り、誰が確認し、いつ買い手へ報告するのかを決めます。
急いで変えないことも重要です
買収直後に、税理士、会計ソフト、銀行口座、社内ルールなどを一斉に変更すると、かえって業務が混乱することがあります。
現状を把握したうえで、すぐに変えることと、当面維持することを分けます。ただし、資金流出や情報漏えいなどの危険がある場合は、権限の変更を優先します。
最初の目標は、すべてを解決することではありません
買収後の確認で最初に目指すのは、次の状態です。
- 何が分かっているか
- 何がまだ分からないか
- どこに危険があるか
- 誰がいつまでに対応するか
- 次にいつ確認するか
問題をすべて解決する前でも、これらが明らかになれば、買い手は優先順位をつけて対応できます。
買収した会社の状況を「分からない状態」から「管理できる状態」へ移すことが、小規模PMIの出発点です。